なぜブロックチェーンのマス市場への道のりは決済を超えるのか
決済分野の観点から2016年には、ブロックチェーンの変化と分岐の動きが見られると考える。その理由を知るために、決済ロードマップを4つの領域に分割し、それぞれがどのようにブロックチェーン技術と相互に影響しあうかを見てみましょう。それらの鍵となる領域は、ロードマップの、技術、ビジネス、社会、規制区域である。
技術傾向
ロードマップの技術部分に多くの時間を割く必要はない。というのも、われわれはすでに、重要な小道を見る事ができるからだ。あらゆるモバイル、金融サービス用 API、ブロックチェーンが一年を通して発展するだろうと考えられる。
ビッグデータとサイバーセキュリティとともに、それらが全て、主流の金融機関(ブロックチェーンはこのような機関からされに投資を引き出すだろう)から、さらに投資を吸い寄せるだろう。
世界のトランザクション志向コーナーでは、われわれはむしろECBの SCA(strong consumer authentication:強力な消費者認証)の進撃に巻き込まれており、それは明らかに生体認証への接触を開始している。
Appleは、セキュリティ技術というよりむしろ便利な技術として、マスマーケット市場で指紋や眼球の虹彩、声紋などの身体的特徴によって本人確認を行う生体認証を再構成するという飛躍的な進歩を成し遂げている。それは大変な成功を収めている。そこで、支払い分野におけるマスマーケット市場での消費者の生体認証の使用に飛躍を見る事を期待している。
ビジネスでのブロックチェーン
ビジネス領域にブロックチェーンが達したとき、主要トレンドの幾つかの輪郭を見る事ができると考えられる。ヨーロッパの銀行の収益の崩壊の場合、ビジネスの全部分に重圧があることがわかる。結果として、幾つかの新しいビジネスモデルと収入源を考える際に、プレミアムがある。
そこでは、ブロックチェーンがおそらくいっそう働き始めるだろう
決済は銀行に関する全てではない。同様にノンバンクや銀行に類似するもの、特に銀行に類似するものに注意する必要があるのは興味深いと思う。銀行に類似するものとは、消費者にとっては銀行のように見えるが、実際には銀行ではなく、市場で特定の目的を持ったニッチ市場を受け持っている。Holvi や Moven がそうであり、人々はこうしたものを好んでいる。
それから、 Facebook や Google、Amazon などもノンバンクである。そこでよく調査されていないグループのひとつは小売業者だと考える。小売業者は実際にまだ(明白な例であるスターバックスは別として)その区域に移っていないし、小売業者は消費者との接触で優位を占めていることから、その区域で事をなそうとするものは、より重要になるかもしれない。
アプリ内小売業者ソリューションへの継続的なシフトは、基本的な変化がほのめかされている。
社会的セグメント
社会的な領域では、概して、新しい種類の支払いシステムに注目し、対応すべきグループが3つある。
第一は、高齢者である。
顔認証システムにかかわるプロジェクトに注目されている。携帯電話で銀行アプリを実行して、それからログインするために電話を見ると、それがユーザーをログインさせてくれる。それは、どちらかというと、おもちゃに取りつかれたミレニアム世代ではなく、パスワードあるいはPINを決して思い出せないより古い世代に受けがいいとかんがえられる。新しい技術は若い世代だけのものではないだろう。
それから、中年世代がある。
朝は電話で通勤してせっせと働く、非常に時間のない世代である。その場で、正しい文脈で届けられるサービスを必要としており、「文脈」と言う言葉が非常に多く、来年出てくる製品に現れるのを目にするだろう。
最後は、モバイル中心のミレニアム世代だろう。
彼らのために、決済を、彼らが使い、彼らを霧散させるチャネルに駆り立てなければならない。Venmoの世界では、Facebook Messenger 支払い行動が、ChasePay あるいは Walmart Pay、 Samsung Pay、その他のものと同様、重要だ。
規制のうなり声
最後に、規制の動向がある。
決済の世界では、これらははるかに最重要の動向だ。超抜け目のない大型のブロックチェーンを人々が思いついたとしても、問題ではない。人々がそれをミレニアム世代に販売するニッチな方法を思いついたとしても、問題ではないだろう。
人々が、全てがうまく運ぶ、すばらしい銀行に類似した構造を思いついたとしても、問題ではない。なぜなら、実際に、これは、規制された世界であり、規制の動向は、その中で作動できる包み紙を設定するからだ。ここで、ブロックチェーン世界が細心の注意を払うかもしれない、2つの主要な規制のトレンドを指摘しようと思う。
第一は、人々が「即席決済」と呼び始めたものである。
英国では、より速い決済サービスは確立され、すばらしい成功を収めている。すでにPingit や Paym などのように、その上で事が可能になっている。そして、その分野により多くが参入しようとする。それは、その道のりをたどり始めたその他の国でも起こっている。連邦準備制度が、銀行の即席決済システムの実装を規制する権限を持たないため、大きな例外は常に米国だった。そこで、米国に即席決済が現れる前にいくらか時間がかかるだろうと思った。
しかしながら、実際には、数ヶ月内に米国から山積みの発表があった。手形交換所(TCH:The Clearing House)はVocaLink と作業中で、 Dwolla はAPI で実験しており、NACHA は同日移行中、などなど。
米国でさえも、即席決済は来年中大いに呼び物となるだろう。いったんこのような方法である人から他の人へお金を即座に送金できるとなると、ビットコインは典型的な消費者用の決済ニッチ市場を見つけるのに苦労するだろう。
第二は、第二次EU決済サービス指令(the 2nd European Payment Services Directive: PSD2)だ。
これは、銀行が、2018年までに、サードパーティにオープン API を提供しなければならないことを命令するものだ。規制されたサードパーティが口座情報とトランザクション開始に直接アクセスできるように、全銀行が実装しなければならなくなる強制的な決済 APIの幾つかのユニークな特別サービス、金融トレード、あるいは FXを提供できるように、銀行が提供する事を許される、強制ではない決済 APIヨーロッパのブロックチェーン起業家が本当におもしろい、本当に差別的な、本当に特別なものをこの分野で作る機会を求めるならば、決済サービスではなく、それらの周辺にあるサービスー決済側にある付加価値の提案に注目すべきである。
したがって、クライアントに対するアドバイスは、非強制、非決済 API に注目しろということである。ブロックチェーンの働きは、これらの API を、銀行がサービスを取り込み、拡大するとともに、新しいサービスを創出するのに使う事ができる。これらのうち、もっとも重要なのは、アイデンテティ管理と認証サービスの周辺にあり、来年はこの分野で多くの仕事があると予測する。