銀行がビットコインを嫌う本当の理由


銀行がビットコインを嫌う本当の理由

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銀行がビットコインと協働することに渋っている、これは周知の事実だろう。
だがしかし今まで、何故なのかという具体的な理由に関してはほとんど私たちに示されていない。

AMLとCTFで働いているシニアバンカーの新しい声明によると、コンプライアンス面が具体的に問題となっていると話している。

世界種々の銀行、特にアメリカなどでは、ビットコインのスタートアップに対して、口座を閉ざしている。ビットコインを採用している事業に対してでさえもだ。

ビットコインを用いて行う事業についてもメディアに露出されることを嫌がっている。ビットコインがいずれ、銀行にとって代わるようになり、銀行はこの脅威を恐れているのだろう、と人々は噂する。だがしかし、その実際は、もっと現実的なものであった。規定、コントロールリスクの問題である。

世界基準の規定

オーストラリアの銀行、投資に関する法律は西洋のそれと似通っている。
だからこそ、今回提示された理由は世界共通として言えることでもある。

The Financial Action Task Force on Money Laundering (FATF/GAFI)は政府間組織であり、1989年、G7によって始められ、現在では34以上の地域共同体が加盟している。

テロリストファイナンスと戦う上で、AML/CTFによるコントロール、方針策定は同じような問題に直面する加盟国において、重要なファクターである。

銀行員が語る本当の理由

シニアバンカー、名前は都合上伏せている、がシドニーで行われたビットコインのプロフェッショナルが集まる会合に参加した。

この会合は法律家、Reuben Bramanathanとビットコインアソシエーション、オーストラリアのJason Williamsの2人によって開催されたものである。

バンカーは以下のように述べている。

「現在の状況ではビットコインビジネスは会計上、ハイリスク、ハイコストである。既存のKYC(know-your-customer、新規口座を開設する際の書類手続きの総称。実在する個人、会社が開設しようとしていることを確認する必要がある。)に加えて、オーストラリア銀行では“know your customer’s customer”が必要になる。

今年6月1日から施行された、「顧客におけるDD(Due Diligence,資産調査)の改定ルール」においては、顧客の査定(実質的所有者、実行者の査定も含む)と利用中の顧客査定(CDD)、モニタリングなどの厳しい基準が課せられている。

さらに体制崩壊を招きかねないような、「政治的に表立つ人」若しくは「公共、共同体に対して影響力を持つ人」を考慮したCDD項目もある。

ビットコインとお金の定義

ビットコインに関しての問題は、ビットコインが「お金」なのかどうかという所から始まる。

現在のところ、the Anti-Money Laundering and Counter-Terrorism Financing Act in Australiaはビットコインを「指定のサービス」にカテゴリーしていない。

自国以外の通貨、e-monayとして定義されているようだ。
そして、「電子インターネットで行われる取引であり、金、貴金属、若しくは政府主体の発行物によってのみ行われる」と制限している。

現在の法律はビットコインが姿を現す以前の2006年に成立している。
この定義によって、AUSTRAC(Australian Transaction Reports and Analysis Centre)では、監視や取締りができなくなっており、主要なAML/CTF に関する事柄も取り扱えない。

つまり、言い換えると、バンカーは既存の査定とは別に膨大な査定、モニタリングを独自に行わなければいけなくなるということである。

増える仕事量、膨大なコスト、多大なリスク

匿名バンカーはこの余分なタスクが多大なるコストを生み出し、また、商業的観点から、ビジネスによって利益を上げている銀行では、このコンプライアンスコストをカバーすることができない。と述べている。

ただでさえ、このような問題に直面するにも関わらず、AML/CTF上のルールに則り、独自で規制を設けないと、監視不足により、会計上においてビットコインビジネスがとても危険なリスクになり得る。

仮に、銀行が可能な限り、この問題に取り組むのであれば、ビットコインスタートアップも同様に努力をしなければならないだろう。

法律と電子通貨のスペシャリストである、Amor Sextonはコインデスクに対して、あらゆる側面を考慮して、ビットコインを取り扱わないという措置をとっていると述べた。

たとえほんのわずかでも銀行がケースバイケースの措置を取り始めたら、たとえそれが合理的であり適切な評価アプローチであっても、他の銀行もビットコインに対して安易に捉えるようになる。これが現実であり、ビットコイン業界にとっては重要な出来事となり得ます。なぜならいかなるビジネスにおいても銀行を利用するということは必要不可欠であるからです。

ウォール街が抱える“ビットコイン問題”

オーストラリアのような国の小規模な銀行では他国との関係を保つ、他国で子会社を持つためには、規定を遵守しなければならない。

もしアメリカの顧客、もしくはアメリカとなんらかのビジネス関係を持っているアメリカ外の銀行はアメリカの規定に則らなければならない。

つまり、通常の規定のほかに別の規定も遵守する必要があり、それは別にコスト、リスクが発生するということだ。

これらの理由はビットコインユーザーにとっては取るに足らない話題かもしれないが、とりわけ銀行界を代表する人物からの今回のコメントは伝統的な金融業界にとって現状の銀行側の姿勢に関してスタートアップ側の理解を促進させる一助になるだろう。

ビットコインビジネスはまだ始まったばかりであり、ビットコインビジネスの証明には他の業界との信頼関係が必要である。

そして、社会運動のように時間がかかることである。それまでにBBA(Bitcoin association of Australia)やADCCA(Australian Digital Currency Commerce Association)などの業界団体が規定のローカライズを進め、この経験を世界中にシェアするだろう。

僕はこう思ったッス

由緒ある金融業界を動かすには相当の労力と時間が必要だ!

[原文]